「livedoorの失敗に学んだ在り方マーケティング~事件を内側から観た真実~ 」
講演:石山 喜章氏
1977年、鳥取県生まれ。
埼玉大学理学部物理学科及びデジタルハリウッド本科プロデュース専攻を同時に卒業後、IT系の戦略コンサルティング会社にて営業ノルマの3倍を達成しMVPを授与。
2003年、株式会社エッジ(後のライブドア)にスカウトされ、メディア事業の立ち上げ、M&A後の事業統合、社内紛争の解決などを統括し、同社の成長を支える。
その過程で資本主義システムの限界を感じ、新しい社会の枠組みの必要性を痛感。
WSJ-JAPAN、NR JAPANの立ち上げを経て2012年に株式会社CCOChief Communication Officer)を創業。
無意識を可視化する組織開発コンサルティングを軸に、誰もが自分の心を経営でき、自分自身と相手の変化を根本から生み出す場(チーム・組織・人間関係)づくりを提供している。
[所属企業・団体]
株式会社CCO 代表取締役
株式会社JIN-G 執行役員
株式会社FiNC 顧問
株式会社ジェムコ日本経営
パートナーコンサルタント
[資格]
マインドームコーチ(一般社団法人マインドームコーチ協会)
Attender License(World Attender Association)
[講演実績]
「急成長企業における人事制度の在り方」人材アセットマネジメント研究会
「ライブドアの教訓を活かした“縦割り組織”の崩し方」人事の大学
「人間関係のマネジメント」BBT大学
「既得権益の構造から見た資本主義社会」明治大学
「意識×進化」サンクチュアリ出版
埼玉大学、関西大学、広報学会、経営研究会ほか30本以上
[出版物]
石山式「対話するトランプ」 http://goo.gl/LaK8FV
10月の販売戦略検討会を下記要項にて開催させていただきました。
今回は、「livedoorの失敗に学んだ在り方マーケティング ~事件を内側から観た真実~ 」
と言うテーマで、あのライブドアを立ち上げ、事件を内側から観た元幹部である、石山 喜章さんからお話を伺いました。
ライブドアと言えば、堀江貴文氏の名前が今でも思い出されますし、その堀江氏が逮捕されるきっかけとなった、ライブドア事件のことを覚えている方も多いと思います。
講師の石山さんは、そのライブドア事件当時、ライブドアの幹部だった方です。
●概 要
あのライブドアを立ち上げ、事件を内側から観た元幹部が語るマーケティング戦略における本質的に重要な要素とは?
バッシングマーケティングの事例などを交えて、今だから話せる話をして頂きました。
●内 容
冒頭、
「今日お話しすることで、Facebookやtwitterで呟いて頂くと拙いことは、オフレコですので、話しますが掲載しないでください、と話しますね」
こんな言葉で今回の定例会講演は始まりました。
100人規模の時代に入社し、幹部として、3,000人まで増大する中で、どういうことが起こっていたのか、真実をお話頂きました。
中には、「ホリエモン」と云うニックネーム誕生の秘話や、今だから話せるeBANKとのいざこざの裏側をテコに会員増員に成功した話など。
是非はともかく、バッシングをうまく利用すれば、当時、6億円かけたTVCMよりも、効果をあげることが出来たことで、確信犯として。
例え、半分は敵になっても、半分は味方になってくれる、「バッシングマーケティング」に傾倒します。
更に、今で云う、「リーン・スタートアップ」をどんどん押し進めます。
社長曰く、「8割できたら、アップ(公開・スタート)していいよ」に代表される、イケイケ、スピード主義です。
その結果、大企業買収劇、選挙戦を経て、2006年1月16日 ライブドア事件が発生。
更に、その後、7年かけて、解散するまでのご苦労をお話頂きました。
ライブドアの中では、ニート、引きこもりなど、社会の弱者を応援し、社会に貢献したい。
皆が働き、頑張れる場を作って行きたい、と云う輝く夢を抱き、共有していたことは、あまり知られていません。
それは、既得権益者には、脅威、煩わしいもの、と映ったようです。
石山さんが、自身で振り返って、失敗の原因と思うものを、戦略と、その結果として、3点に整理すると。
1.会社 < 人を売るブランディング は、ホリエモンを時の人にし、成功したかに見えましたが、時として、その言葉遣い、目上に対する態度など。
バッシングの遠因になります。
2.見方を変える は、他社がやらないことを率先してチャレンジ、新たな市場を開拓しようとしたが、株式100分割など、意図を知らない方からみると「やりすぎ」と批判を受けることも。
3.姿勢を明確にする(し過ぎた?) は、味方も増えるが、敵も増える。結果として、弱者・若者に見方が多く、社会の強者、権威者、年配の方々を敵に回してしまいました。
その上で、結局のところ、最大の原因は、決して踏んではいけない、虎の尾を、同時に2本も踏んでしまった。
しかも、そこそこのところまで追いつめたことが、最大の敗因だったと総括されていました。
それは、メスメディアの雄(フジテレビ・日枝さん)と政界の雄(警察界OB・亀井さん)を本気で怒らせたこと・・・。
石山さん自身、一度、底まで堕ちたと思い、考え、自身の復活を模索しつづけるうちに、大きな岐路に出会うことが出来たそうです。
そこからは、現在ご活躍の会社起業し、自社の骨幹をなす考えを得ることになりました。
それは、狂想曲のような出来事、事柄は、全て、実がなく、去ってしまえば、結局何も残らない。
人を動かすには、根本の在り方が重要なのだと考えるに至ります。
総括として、「在り方」の大切さや、石山さんの理解の仕方を、「ブランド」「マーケティング」「セールス」とお客様の関係で。
また、マズローの欲求レベルと、過去、及び、これから市場に求められるものの相関関係の自説を。
更には、今後のマーケティングは、アイデンティティー(自己認識)を認識させてあげられるソリューションが大事になり、その解を、関わる皆で探して行くべきだ、と云う問題提起を頂きました。
あっという間の、約80分でした。
懇親会は、毎度の三番町倶楽部さんの炭野菜を中心に美味しい食事で、アットホームに盛り上がりました。
講師を囲む輪以外にも、そこここで、有意義なお話を散見できたのは、いつもの通りです。
●その途中でもお話を伺いました。
・セミナーを終えてみて:世間を騒がせた話題で、これまでに話す機会に、過敏な反応などもあった。が、今日は、意外と頷きながら冷静に聴いて頂けた。時間が経ち、時代が変わってきたのかな、と実感した。
・語り足りないこと:「(ライブドアが事件勃発時、保有していた)キャッシュで800億あれば、どんな社会貢献をされますか?」と皆さんに問うてみたかった。
是非、反省はあるが、若者が血のにじむ努力で得た金を霧散させてしまった。もし、将来、小生意気だが、有望でもある若者が出現したら、もう少し温かい目で、行く末を楽しみに見守ってあげて欲しいと切に思う。
・この会について:問題意識の高い人が多い。敗者復活が認められにくい日本と云う国を変えるような話をそこここで聴けて有意義だった。
・今後について:数人の方とは、弱者支援と云うライブドアを離れても、自身のライフワークにしているテーマで連携して行けそうだ。
石山さんの今後の活動に期待し、またの機会を楽しみにしています。